●流量計算の基礎式
基本的な流量、圧損計算をマスターしましょう。
気体でも液体でも基本的に考え方は同様ですが、このページの内容は非圧縮性流れを前提としていることに注意してください。すなわち流体の密度変化が無視できる場合です。
圧縮性流れについては別途やりましょう。
はじめに基礎式を書いてしまいます。
$$ G=Cd A \sqrt{2 \rho (P_0-P_1)} $$
それぞれ、
G:流量kg/s Cd:流量係数
A:流路面積m2 ρ:密度kg/m3 P:圧力Pa
を表します。
この式は非圧縮性流体のベルヌーイの式から導くことができます。
図のようなタンクの中の流体を噴出する場合を考えます。タンクの容量は十分大きく、タンク内の流速はゼロとみなせます。
$$\frac{P_0}{\rho}+\frac{u_0^2}{2}=\frac{P_ \infty}{\rho}+\frac{u_ \infty^2}{2}+L$$
Lは損失を表し、以下のように書けます。ζは損失係数で、流路形状などで決まる定数です。
$$L=\zeta\frac{u^2}{2}$$
タンクの中、外気の流速がゼロであることに留意してuについて解くと次式が導かれます。
$$u=\sqrt{\frac{2(P_0-P_\infty)}{\zeta\rho}}$$
\(Cd=\frac{1}{\sqrt{\zeta}}\)と書くと以下のように表せます。
$$u=Cd\sqrt{\frac{2(P_0-P_\infty)}{\rho}}$$
流量Gは\(G=\rho A u\)と書けるので、流量は以下のようになります。
$$G=CdA\sqrt{2\rho(P_0-P_\infty)}$$
【例題1】
タンクから空気が噴出される場合を考えます。
噴出流速はいくらになりますか?
【答え1】
$$u=\sqrt{\frac{2(P_0-P_\infty)}{\zeta\rho}}$$
に条件を代入していきます。空気の密度は標準状態の1.293kg/m3を使います。
$$u=\sqrt{\frac{2\times(101-100)\times1000}{1.5\times1.293}}=32.1m/s$$
【例題2】
水道の蛇口を考えます。
水が1kg/minで出ている場合、上流の圧力(供給圧)P0はいくらでしょう?
有効面積は2cm2とします。
【答え2】
流量を表す式に各条件を代入します。水の密度は998kg/m3を使います。
$$G=CdA\sqrt{2\rho(P_0-P_\infty)}$$
$$P_0=P_\infty+\frac{1}{2\times998}\times\left( \frac{1.0}{60}\times\frac{1}{2\times 10^{-4}} \right)^2=103.5kPa$$
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