燃空比・当量比とは

●燃料と空気を混ぜるところから

燃焼の特性:火炎温度、燃焼ガス組成 ect…は燃料と空気の混ざり具合で大体決まります。そのため、燃料と空気の比をとった燃空比がよく使われます。

名前の通り燃料の質量を空気の質量で割ったもので、質量÷質量の次元となるので無次元量です。F/Aとも書き、エフバイエーと読みます。

個人的には燃空比になじみがありますが、業界によっては分子と分母をひっくり返した空燃比がよく使われます。

●化学量論 

さて、好きな割合で燃料と空気を混ぜることができますが、燃料と空気が過不足なく反応する混ぜ具合というものがあります。”過不足なく”とは反応後に燃料も酸素もすべて消費されどちらも余らない、ということです。このときの燃空比を量論燃空比あるいは理論燃空比といいます。英語で量論を意味するstoichiometricを短くして”ストイキ”と言ったりもします。

都市ガスの主成分であるメタンが過不足なく反応する燃空比を求めてみましょう。

化学反応式は次の通りです。

CH4 + 2O2 → CO2 + 2H2O

これは反応に関与する空気中の酸素だけを書いたもので、実際には空気は酸素と窒素の混合物です。簡単のために微量成分は無視すると酸素:21%、窒素:79%の組成です。したがって空気には酸素の79/21=3.76倍の窒素が含まれることになり、これを踏まえて書き換えると、

CH4 + 2(O2+3.76N2) → CO2 + 2H2O + 2×3.76N2

化学反応式の係数は体積と考えていいので、1m3のメタンと2m3の酸素+2×3.76m3の窒素を混ぜた場合に過不足なく反応することが分かります。

メタンの密度0.717kg/m3、酸素の密度1.43kg/m3、窒素の密度1.25kg/m3を使って、

$$(F/A)_{st}=\frac{1\times0.717}{2\times1.43+2\times3.76\times1.25}=0.0585$$

となります。添え字のstは上で出てきた量論の意味です。100倍して5.85%と言ったりもします。

さて当量比の説明をする準備が整いました。

当量比Φは燃空比と量論燃空比との比、すなわち

$$\phi=(F/A)/(F/A)_{st}$$

となります。これはどういう意味でしょうか?

Φ=1では燃空比が量論燃空比と等しいので、燃料と空気が過不足なく反応することになります。あとは想像がつくと思いますが、

Φ<1 燃料が少ない→空気が余る 

Φ>1 燃料が多い→燃料が余る

となります。Φ=1を境にいろいろな特性が変わることから、当量比を意識することが大切です。

【例題1】

プロパン0.2kg/sと空気5.0kg/sを燃焼させる。このときの当量比は?

【答え1】

まず燃空比は

F/A=0.2/5.0=0.04

化学反応式を書くと、

C3H8 + 5O2 + 5×3.76N2 → 3CO2 + 4H2O + 5×3.76N2

量論燃空比は、

$$(F/A)_{st}=\frac{1\times1.55}{5\times1.43+5\times3.76\times1.25}=0.051$$

したがって当量比Φは、

$$\phi=(F/A)/(F/A)_{st}=0.04/0.051=0.78$$

となります。


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